意志を持つ人間に育てる! その1

 Kくんは、暁星幼稚園に通っていました。彼の能力と、内部進学であることを考え併せると、当教室に通う必要はなかったのかもしれません。でも気に入ってくださったのか、彼と接する幸運に恵まれました。
 Kくんは深く思考する力と、集中力に富む極めて優秀な男の子でした。だれもこなせない課題を、たちどころに解答する能力を持ち合わせてもいました。でも、はにかんだ笑顔が今も脳裏に焼きついているほどで、強引に自分を押し出すようなタイプではありません。

 Kくんは当然暁星小学校に進みました。そして小3の時に、算数オリンピックで金賞を受賞しました。その快挙は感動でした。
 その後Kくんは、幼稚園からずっと同じ場所にある学校に通い続けることに、疑問を持つようになります。決して暁星がきらいになったわけではありません。低学年の頃の夢は、野球選手になること。早実から甲子園への道を歩みたいと口にするようになりました。毎年10~15人が外部受験する環境にあって、塾通いはごく自然な成り行きでした。でもサピックスのクラスメイトのほとんどが進学校志望で、その影響から、早実を断念することとなります。
 Kくんは6年生の夏に突然、将来は農家になりたいと言い出したのです。日本の食料自給率の低さを憂う気持ちがその発端です。そこで農芸部があり、学校の畑で授業をする筑波大学附属駒場中学校を志望するに至りました。そして見事合格! さすがKくんです。

 今では、いなごやこおろぎを食べる研究をしたり、御両親の応援もあって借りた畑で作物を育てたりと、農業への一歩を踏み出しています。またエコにも関心を持ち、資源の無駄使いを率先して控え、家族ぐるみで、冷房、ドライヤー、電子レンジなどを極力使わないよう心がけているとのことです。
 将来の希望はまた変わるかもしれません。研究職に向いていると思われるKくん。品種改良や栽培の改革、新しいエネルギーの開発や地球温暖化対策などに貢献する道に進むのかもしれません。また、自身の意志で全く別の道を歩むことになるのかもしれません。

 決して親の意見を押しつけることなく、Kくんを尊重し、側面からの援助を惜しまない御両親。その姿勢こそ彼の「意志」を育み、成長を促すと信じています。

 ところでKくん、6大学野球リーグで、東大野球部の奇跡の優勝に貢献なんていかが?

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