さとる君と犬のラッキーのお話

あけましておめでとうございます。

私は長蛇の列の明治神宮で初詣。教室の受験生のみなさんの合格を祈って来ました。
かわいい受験生さんも、小さな手を合わせて、
「○○小学校に入れますように。」
なんて、お願いしたのかな。良い年にしましょうね。

さて、今年は戌年。犬にちなんだお話です。

さとる君(仮名)は一人っ子。犬のラッキー(仮名)が弟がわりです。
元気いっぱいのさとる君は、いざという時の集中力はすばらしいのですが、
いつもというわけではありません。
少々落ち着きのない一面もありました。

夏頃になると、スランプに陥る生徒さんが増えてきます。
さとる君もその一人でした。
「簡単な指示を聞きまちがう」「記憶問題ができない」「数の課題のケアレスミスが増える」
この症状が出てきたらスランプです。
ペーパーに飽きてきていて、集中力を欠いているのです。
そういった生徒さんには、個性を見究めて、最良の治療法をアドバイスします。
日頃遊んでいないと、余計落ち着きがなくなるさとる君。
お母様に

「ペーパートレーニングを減らしていっぱい外遊びをさせて下さい。」

と申し上げました。

ところがいっこうに効果が出ません。
年中クラスの十一月の新学期から通室しているさとる君は、
具体物を使いながらの授業で、基礎力がしっかりとついていました。
もともと家でのペーパートレーニングも1時間くらいで、無理をする必要はなかったのです。
それをさらに減らしたり、やめてみたりしても、集中力は戻りません。
授業中もガタガタ椅子を揺らしたり、指示を聞いていなかったりです。
その都度注意をすると、お母さんの方を振り返り、怖い顔を見て、
数分はお行儀よくしているのですが・・・。
当然のごとく、公開テストの成績も下がる一方です。

「どうしたんでしょうね。」

お母様と二人、頭を抱えました。

半月ほどたった頃でした。お母様が明るい顔で、
「原因がわかりました。実は、さとるは犬に嫉妬していたのです。
私が犬にばかり優しくするので、『ママが好きなのは、ラッキーなんだよね。』と言ったんです。」
「お母様の愛情を感じられなくて、不安だったんですね。さすがの私もそれは見抜けませんでした。」
二人で大笑いです。

お母様は日頃、さとる君を叱るかわりにラッキーを抱き、頭を撫でながら、
「さとるは、ちっともママの言うことを聞かないけど、ラッキーはいい子ね。」
それを耳にするさとる君は
「ママは僕のことなんか好きじゃないんだ。ラッキーばっかりかわいがって。」
どんどん気持ちが落ち込んでいったのです。

「ママは、さとるのことを一番愛しているのよ。」

安心したさとる君は、意欲的に課題に取り組めるようになりました。

さあて、いざという時の集中力がすばらしいさとる君。
お試験の結果はいかがだったでしょう。
見事、成蹊小と筑波大附属小に合格です。
筑波大附属小に進むというさとる君は運動が大好き。
グラウンドを元気いっぱい走り回る姿が目に浮かぶようです。
さとる君にとっておめでとう! おめでとう! のお正月ですね。

ところでラッキー。お正月にはごちそうを食べた? 今年は君の年だよ。

「ワン。」

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