願書に有効な生活 夏休み編

 入学願書には、学校の教育方針を踏まえた上で、家庭の教育方針との合致点を中心に、具体例を示しながら記入することが大切です。
 となると家庭での日常の取り組みや休日の過ごし方など、実体験をもとにしたエピソードを書くことが必要となります。日常の生活に関することは次号で述べるとして、今回は各ご家庭で計画中であろう、夏休みの過ごし方についてお話ししたいと思います。
 当教室で受験者の多い成蹊、早実、桐朋学園は体験の中から学ぶことを重視しています。従って、家庭の教育方針として、「日頃から、動植物を育てることによって、思いやりの心を育むと共に、観察力を養うよう心掛けている。」「休日には家族で、海や山などに出かけ、自然の中で四季の移ろいを感じること、たくましさを養うことを大切にしている。」とうたう願書が大半となります。
 さて、問題はその具体例です。実際に行ってもいないことを、まことしやかに書き連ねることはできません。成蹊ではご両親に、早実では子どもにも、突っ込んだ質問が来ます。角度を変えて同じことを各々に聞いてくることもあります。ここで重要になってくるのが、お父様の子どもに対する積極的な関わりです。最近は、家庭を大切にするお父様が増えてきましたが、中にはご多忙で、じっくりと子どもと向き合うだけの余力のない方もいらっしゃるようです。
 願書に有効な夏休み、キーポイントはお父様です。さあ、がんばりましょう、お父様!
 本年度合格した方の願書から、過ごし方の例を挙げてみます。夏休みの計画の参考になさってください。

〇キャンプ(最近増加傾向)
―父子でテントを張り、火を起こして野外料理(早実進学)―
設備の整ったキャンプ場で、便利なキャンプ用品を使ってのキャンプは快適ですが、このご時勢にあって、エネルギー・水などの大切さを教えるには、火起こし、湧き水調達などの体験を共にするといいのでは?ただし、安全性には充分配慮してください。

〇旅行
―群馬県みなかみ町たくみの里での竹とんぼ作りやそば打ち体験(桐朋小進学)―
大野オススメスポットです。昔の遊びや食を知り、実生活にも生かせば、大いにアピール材料となります。

〇庭のリフォーム
―家族で、雑草だらけだった庭を大改造し、土も改良。季節の花や野菜など、多くの新しい「生」が実る庭に(早実進学)―
さらに、野菜を使って子どもと共にクッキングと発展させれば、面接でもよく聞かれる「食育」につなげることができます。
 次に、お父様の出番を必要としない過ごし方の例を紹介します。

〇せみの観察
―家の近くの並木道で、けやき、松、かえでなどの木に止まるせみの数を毎日数える。15匹見つけた日もあり、すぐに200匹を超えた。図鑑で調べ、鳴き声、姿、ぬけがらまで見分けられるようになった。(成蹊進学)―

〇ラジオ体操
―目覚まし時計をセットして一人で起きて毎日通う。雨や強風でも会場に向かい、中止を自分で確かめて帰宅。(早実進学)―

受験は夏が勝負です。子どもたちは、暑い中小さな体で、講習に家庭学習にと、懸命に取り組みます。その夏休みが、子どものためにも、そして受験成功のためにも、楽しく有意義であることを祈っております。

大野啓子

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